2023年1月31日に公布された「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」では、
有価証券報告書への記載事項として「人的資本、多様性に関する情報」が加わりました。
このときの対象は上場企業約4,000社でしたが、近年は中小企業においても人的資本経営の必要性が高まっています。
そこで今回は、中小企業の人的資本経営と採用戦略を紐付けながら、オフィスデザインの有効性についても解説します。
1.人的資本経営とは?
まずは人的資本経営の概要について見ていきましょう。
経済産業省では、人的資本経営を以下のように定義しています。
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、
中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。
出典:人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~|経済産業省
人的資本経営は、2020年発表の「人材版伊藤レポート」(経済産業省)によって注目された概念です。
ポイントとなるのは、人材を“資源”としてではなく“資本”として捉え、
投資を通じて成長・活躍してもらい、企業全体の価値向上につなげるということ。
従来と異なる人材戦略として、話題にもなりました。
多様な働き方の浸透や投資家の情報開示要請、SDGsやDXなどの世界的な潮流のなかにおいて、企業には競争力強化が求められます。
人的資本経営はその一助となるとして、多くの企業に採用されています。
1-1.資源から資本へ、従来との違いは?
前項で触れた“資源”と“資本”の違いを、より明確にしていきましょう。
まずは資源。
こちらは、端的に表すなら“活用するもの”です。
従業員を雇うことはコストであり、それを消費・管理しながら企業活動を行います。
一方、資本は人材をコストとして捉えず、投資対象として考えます。
従業員を雇い入れる際の費用が10なのであれば、
成長を経ることで100のリターンを獲得しようと考えるのです。
人材を資源とする場合、得られるメリットは即効性です。
しかし、価値が高まりにくい以上、現状維持が続きます。
資本への投資は、当初の売上げがマイナスになる可能性もあるでしょう。
一方、しっかりと環境を整えて成長してもらえれば、
人材が将来的に会社にとって大きな資産にもなり得るのです。
1-2.中小企業にも人的資本経営は必要
新入社員を雇い、育てるという手法は、一部の大企業型の人材戦略だと思われがちです。
しかし実際には、従業員の能力開発や、副次的に生まれる組織文化の向上は、
企業の競争力や事業成長の促進にもつながります。
その意味で、中小企業においても、人的資本経営はぜひ採り入れたい戦略のひとつといえるでしょう。
とくに、少人数での運営となる中小企業の場合は、従業員一人ひとりのスキルが重要になります。
即戦力だけに頼らず、しっかりと人材を育てることで、他社との差別化にもつながります。
人的資本経営の必要性についてご理解いただいたところで、
次章では実際に中小企業が人的資本経営を実践するための
ポイントについてご説明いたします。
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